黒百合の歌
               歌:織井茂子
               作詞:菊田一夫 作曲:古関裕而

      ♪ 黒百合は 恋の花
        愛する人に捧げれば
        二人はいつかは 結びつく …♪

 クロユリ…となると、たちまち、あの織井茂子の張りのある声が、頭
 の右上あたりで響き出す。
 昭和20年生まれの私には、それほどに染み込まされているらしい。
 例のラジオドラマ「君の名は」の挿入歌だ。

 当時、大人と一緒になってドラマを聴いていたはずだが、その筋は、
 ほとんど記憶にない。
 後年、映画ビデオで、改めてこの歌の背景を知った。
 主人公・後宮(あとみや)春樹に恋をするアイヌ娘の心情を歌ったも
 の。しかし、春樹の心は、名も知らぬヒロイン(氏家真知子)に占めら
 れており、この恋は「結びつく」はずもなく終わる。その意味でも、こ
 の歌詞ははかない。

 ひとつ、疑問に思っていた。
 北海道では、クロユリは、アイヌ娘の身近にもあるのだろうか。
 私の知る自生地は、月山の頂上。まさに、高嶺の花。

 今回、勉強して納得した。
 クロユリには、
エゾクロユリ(3倍体。var. camschatcensis
 ミヤマクロユリ
(ふつう、単にクロユリと呼ばれる2倍体var.
 keisukei
Makino )とふたつのタイプがある。
 この写真は後者らしく、北海道の高山と本州の限られた高山のもの。
 前者は、北海道の低地に生え、色もより黒っぽい、という。
 前者ならば、アイヌ娘でも容易に摘むことができるわけだ。

クロユリ [補足〜蛇足]
植物観察ノート 宮城県
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'11.5.12
仙台市野草園 植栽
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